たくさんの想いがこもった白。
ちょっと物悲しい秋。そんな季節にぴったりな絵の展覧会が、
福岡県立美術館で行われていますよ。
10月26日から始まっているんですが、観に行くのが遅くなり
なかなかご紹介できませんでしたが・・・
●11月26日(月)放送:
モーリス・ユトリロ展
ユトリロの絵は殆ど人物が描かれていない風景画。その創作背景には、
子供の頃から孤独や飲酒癖に苛まれて育った画家の姿があります。
絵を描き始めたのは、10代でアルコール中毒になったユトリロに、
治療のために医師が勧めたのがきっかけだそうです。
ロートレックなどの著名な画家のモデルをしたり、自らも絵を描いていた
母シュザンヌ・ヴァラドン。実の父親もはっきりしない一人息子のユトリロ
との親子の絆は希薄だったようです。
ユトリロの“白の時代”の頃に描かれたものは最高の絵画だと評されます。
しかし皮肉なことに生涯を通して見ると、おそらくその頃のユトリロが一番
孤独感が強い時期だったようです。それを埋めるかのように、絵に描いた
建物の白い壁にこだわって色を重ねている、、、絵を描くことって、実は
とても孤独な作業なんだなぁとしんみりしてしまいます。
“白の時代”と比べて、格段に明るい印象になった“色彩の時代”の頃の
作品と比較するのも面白いです。ユトリロの絵は、生き様が素直に画風に
現れているところが魅力のひとつだと思います。