ママの魂。
今年の4月、私はあるTV番組を観ていました。
難しい癌を発病した後に出産し、数年後の今年の2月に亡くなった女性の
ドキュメンタリー。
観すすめていくと、その女性が高校時代の一つ上の先輩だと分かりました。
言葉を交わしたことはありませんでしたが、バンドでベースを担当していた
彼女が文化祭のステージ上で演奏している姿は、今でも覚えています。
まさかという驚きと共に、それからTVを観る目は涙でいっぱいになりました。
今回ご紹介するのは、その方が遺した一冊の本です。
●5月6日(火)放送:
テレニン晃子『ゆりちかへ-ママからの伝言-』
著者のテレニン晃子さんは、妊娠中の2005年の12月、脊髄に腫瘍が出来て
いることが判明し、緊急手術を受けました。その後まもなくして腫瘍が再発…
再度手術を受け、5年生きられる可能性が40%という難しい癌と戦いながら、
翌年の2月にゆりあちゃんを出産しました。その後、癌の治療を始めましたが、
転移を繰り返す癌と戦った末に、2008年の2月、晃子さんは永眠されました。
「ゆりちか」とは「ゆりあ」ちゃんのニックネーム。
晃子さんのご主人の生まれ故郷である、ロシア風の呼び方です。
この本には、晃子さんからゆりあちゃんに向けてのメッセージが綴られています。
パパの事、人間関係(けんか、友達、こども時代の事)、勉強や日常生活の事、
女の子として(おしゃれや体の事や恋の話)、趣味(音楽や本や映画など)の事…
これまでの人生で学んだ事を、ゆりあちゃんのために一つでも多く伝えたい、
困った時には助けになるように…生きていく上で色んな物事に直面するけど、
素敵な女性になって欲しい…優しい話し言葉の文章の中には、母親としての
晃子さんの願いが強くこもっています。
本当はゆりあちゃんの成長と共に生きていたいけど、病気のためにその願いも
叶えられそうにない…どれほどの無念だったでしょう。この本には闘病記も掲載
されていますが、日を追うごとに病状が悪化していく中で、晃子さんが懸命に
遺した言葉の数々に、胸がいっぱいになって涙が溢れます。
おすすめ度:
★★★★★
愛のこもった一冊です。たくさんの人に読んで欲しいと思います。
OAで紹介中にも、堪え切れず泣いてしまって言葉が途切れ途切れに
なってしまい、すみません。。。