違う職業の人に読んでもらって感想が聞きたい本。
今回ご紹介する本は、小説です。
主人公は、地方FM局の女性パーソナリティ!
しかも私の大好きな絲山秋子さんの作品とあって、
読む前からワクワクしました〜。
●9月2日(火)放送:
仙台のFMの局アナを経て群馬県高崎にあるJOSHU-FMに転職した
主人公・野枝の日常を描いた小説です。
野枝はプライベートでは自分の周りに壁を作っているような性格で、
決して社交的な女性ではありません。それでも、アナブースに入り
マイクの前に座ると、自然にテンションが上がる野枝。その姿は、
まるで水を得た魚のようでもあります。
そんな野枝の淡々と流れる日常が描かれています。野枝が一人で
訪れた居酒屋で知り合い友達になった女医・沢音とのサバサバした
人間関係は、読んでて気持ちが良いです。RN“恐妻センター前橋”
というリスナーとの交流で、野枝の気持ちが柔らかくほぐれていく
様子も面白いです。
番組宛に来たたくさんのメッセージをプリントアウトした束を前に、
野枝がはっとなる場面が一番心に残りました。こういう内容です↓
“野枝の声が電波に乗って空を飛んでいるのではない。
リスナーが空を飛んで自分の所に来て話しかけているのだ。
からっぽのブースにたくさんの心が集まっているのだ。
それは読み上げるメールも、読まないメールも、それから
送信されないメールも同じことだった。
ラジオは発信されるものではなく、人が集まるところに
たまたま野枝がいる、そういう事なのだと野枝は思った”
同じ仕事をしている者として、共感する部分も色々ありました。
作者の絲山さんは高崎市にお住まいで、FMぐんまの番組に定期的に
出演していらっしゃいます。そういう経緯もあってかラジオ業界の
舞台裏が垣間みられるような描写も、ちょいちょい出てきます。
おすすめ度:
★★★★☆
そうそうこの本は、FMぐんまとのコラボ作品です。
局のキーワードが“ラジ&ピース”なんだそうですよ。
Free Waveで言えば“音楽のある毎日に。”みたいな?