junbunnyのブログ

2年ほどブログを休んでたけど、はてなに引っ越して再開。文と全然関係ない写真が貼られていることがありますが、ぼちぼち整えていきます。

敏感と鈍感のあいだ

江國香織さんの小説『スイートリトルライズ』が映画化されました。

私、江國さんの作品は読んだことが無いんですが、多くの女性から

支持されている作家ということだけは存じ上げております。

では映画化されたものは、どんな感じ?スイートなの?

中谷美紀さん&大森南朋さんが夫婦を演じるというだけでも、

とても魅力的な一本でした(お二人とも、ファンなので…)。

 

●3月9日(火)放送:

スイートリトルライズ

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テディベア作家の瑠璃子と、IT企業に勤める聡は、結婚3年目の夫婦。

洗練されたインテリアの部屋に住み、金銭的にも不自由なく、

誰から見ても幸せそうに見える二人。

ただ二人の繋がり方は、どこか妙。聡は帰宅してからの時間は、殆ど

部屋に篭ってTVゲームをしながら大音量で音楽をかけて過ごしている。

二人は同じ家に居ながら、連絡を取り合う手段は携帯電話だったりと、

仲が悪い訳ではないけれど、温かみを感じるものとは程遠い。

不幸ではないのに、日々どうしようもない淋しさに襲われる瑠璃子は、

「この家には、恋が足りないと思うの」と聡に告げる。「どうして?

そんなことないよ」と答える聡。

それからしばらくして、二人にはそれぞれ別の恋の相手が現れます。

“本当は、夫だけを愛していたいのに”瑠璃子はそんな複雑な思いを

抱えたまま、個展を訪れた春夫と恋に落ち、聡はサークルの同窓会で

久々に再会した、聡に積極的にアプローチしてくる後輩のしほと恋を

します。

ほぼ女性目線で語られるお話。瑠璃子の痛い位の淋しさが、細部の

映像にまで巧みに表現されています。ただ一針一針テディベアを

縫っているだけなのに、どうしようもない淋しさを夫にまっすぐ

ぶつけることができない瑠璃子のわだかまりと合わさって、何だか

怖い場面に見えてきたり…(可愛いベアが痛々しく感じられます)。

私は、個人的に聡の鈍感さにイラッときた場面がありました。

それは、聡が以前しほに紹介されて一緒に食事をしたレストランに

「同僚に教えてもらったんだ」と嘘をついて瑠璃子を連れて行く場面。

これは、しほも瑠璃子も、どっちも事実を知ったら愕然とするよね…。

細かい部分の表現が巧みで、思わずうなずいてしまうような映画。

中谷美紀さんの透明感あふれる繊細な美しさが映える作品でした。

愛が欲しくて、愛を与えたくて、でもどうしようもない人にとって、

心に響く映画ではないかと思います。

ソラリアシネマユナイテッドシネマ福岡にて公開です。