オフビートな感じを味わう。
眼球を通して、見る者の脳に確実に何らかの刺激を与えてくれる写真。
ある有名な写真家の展覧会が、三菱地所アルティアムで行われています。
●11月5日(月)放送:
森山大道写真展「記録そして記憶」
’60年代末から’70年代初頭にかけて“アレ・ブレ・ボケ”と形容される
独特の表現で、写真界に衝撃を与えた森山大道。
その被写体は正論的に「美しい」と評されるものはかなり少ないでしょう。
目つきの悪い犬猫、お世辞にも可愛いとは言い難い表情をした子供、
場末の飲み屋で酔っぱらった女、ジーンズの腰からはみ出した贅肉・・・
汚れたガラス窓の外にとまった蝿を、部屋の中から撮った写真もありました。
一般的に綺麗じゃないものに美的なものを見出すのがたまらない!という人
には、何かピンとくるものがあるかも。
生意気なようですが、見ているうちに“何故これを被写体に選んだのか?”
という理由が分かってくるような気がしました。それがまた面白い。
白黒写真にありがちな、無機質で時間の止まった印象は森山大道の写真には
感じられず、むしろその時その時の息吹が聞こえてきそうなほどです。
そして瞬間を絶妙にとらえたものが、写真となって私達の目の前にある。
退屈でかっこ悪いような日常も、目線を変えると意外と興味深くかっこいい
かも知れない、と思わせてくれるような写真達。
映画監督で言えば、ジム・ジャームッシュあたりが好きな人にはピシャリくるかも。
幻の個人写真誌「記録」の復刊記念の意味も込められたこの展覧会。
11月25日(日)まで、イムズ8階の三菱地所アルティアムで開催です。
※11月20日(火)はイムズ休館日