背筋を伸ばして生きなきゃと思わせてくれます。
戦争を体験していない世代の人であっても、その歴史を紐解く時には
ある程度の苦痛を伴うと思います。もしも時代が戦争に突入した場合、
自分は、家族は、友達はどうなるの?…想像しただけでもぞっとします。
しかしながら、これまでの歴史を教訓として、
平和の意味を考えるのは大切な事。
今回ご紹介する映画は、第2次世界大戦後実際に行われた裁判で
被告となった日本軍司令官のお話です。
●2月27日(水)放送:
第2次世界大戦終結後、元東海軍司令官・岡田資(おかだ・たすく)中将は
B級戦犯として軍事法廷にかけられました。起訴理由は“捕虜となった38名の
米軍搭乗員に対し正式の審理を行わず処刑を行った”こと。
これに対し裁判の中で岡田中将は「米空軍が圧倒的に優勢なのに対し、
全くのその日暮らしを送っていた我々が、日々直面している問題について
第一総軍の指令を仰ぐのは不可能だった」と略式裁判の正当性を訴えます。
弁護側は“無差別爆撃を行った米軍搭乗員は戦犯であり、略式裁判による
処刑は正当”と主張。“米空軍が行ったのは無差別爆撃である”ということを
証明するために一般市民の証人喚問も行われ、爆撃によって受けた被害が
いかに凄惨なものであったかを彼らは法廷で証言しました。
岡田中将はこの裁判を「法戦」を名付け飽くまで戦い抜く事を決意、
戦犯として裁かれようとも主張すべきところは主張し、「全ての責任は
自分にある」と、部下を守る姿勢を決して崩す事はありませんでした。
岡田中将側の弁護をしたのはアメリカ人のフェザーストン弁護士。彼は弁護人として、
アメリカの利益に反しても被告人の利益になるための努力を惜しまず、公平に弁護します。
対する検察側のバーネット主任検察官は、裁判で罪状を厳しく追及しながらも、次第に
岡田中将の潔い態度に心を打たれるようになり、時には被告に有利な論告をする事も。
後にこの相対する立場の二人が岡田中将の助命嘆願を行ったのは、特筆すべきでしょう。
実在した人物・岡田資中将の生き様は、終戦後60有余年の月日が流れた今、
現代に生きる人達にも誇り高く生きることの大切さを教えてくれるものだと思います。
『明日への遺言』は、3月1日より中洲大洋、ユナイテッドシネマ・キャナルシティ13、
ユナイテッドシネマ福岡他にて上映中です。
おすすめ度:
★★★★☆
傍聴席で静かに裁判の行く末を見守る、岡田中将の家族の姿にも涙。